MiPは従来技術と比較して、多くの優れた特性を持っています。ここではMiP、COB、GOB(SMD)の比較をご紹介し、それぞれの違いを掘り下げて解説します。
1. 黒の締まり:映像に品格を与える「深い黒」
黒の表現力は、映像の奥行きや高級感を左右する重要な要素です。MiPの最大の特徴は、LED素子が非常に小さいことにあります。
発光していない場所(=黒)では、この素子が極めて目立ちにくいため、画面全体に占める黒以外の要素の割合が少なくなり、深い黒が表現しやすくなるのです。
従来のLEDでは、LED部分が白い点として目立ちにくくするため表面にスモーク処理(いわゆる「黒玉」)を施すことがありますが、それでも完全な黒とはいかず、白っぽく見えてしまう傾向があります。
一方、MiPはチップそのものが小さいため、物理的に「黒い面」の割合が大きくなることから、締まった黒が表現可能です。
2. 高いコントラスト:目を引くメリハリ
コントラスト比は、最も明るい部分と最も暗い部分の輝度の比率で、映像の立体感や視認性に影響します。MiPは液晶ディスプレイや従来型のLEDディスプレイを上回るコントラスト比を実現しています。
人間の目は、色そのものより光の変化(=コントラスト)により敏感なようにできているため、広告やプロモーション映像で視覚的インパクトを与えたい場合に特に効果的です。メリハリの効いた映像表現が可能となり、訴求力の高いコンテンツを実現できます。
3. 視野角:どの方向から見ても映える
LEDディスプレイは主に大型映像に使用され、より多くの人に一度に訴求する目的で使用されることが多いため、視野角の広さが重要です。
従来型のLEDディスプレイに比べ、MiPでは視野角が10%程度増え、170度程度の広視野角を実現しています。
これにより、ディスプレイの正面でなく、斜めの位置からでも上質な映像体験を提供できます。広い空間での活用において大きなメリットとなります。
4. 色の均一性:ブランドカラーの再現性
企業ロゴや製品イメージなど、色の正確さが求められる用途では、色の均一性が重要です。
MiPは極小のLEDを使用する為、RGBの配置等を最適化することができるため均一性が出しやすいという特徴があります。
これによって、ブランドカラーの再現性が高まり、企業イメージの統一性を保ったプレゼンテーションが可能になります。
5. より狭ピッチ対応:近距離から見ても美しい
ピクセルピッチは、LEDディスプレイの解像度と視距離を決定する重要な要素です。
狭いピッチほど近距離からの視聴に適しています。MiPは、超小型チップと個別パッケージ技術により、超狭ピッチを実現し、視聴者が近づく環境で特に効果を発揮します。
大画面だと近づきすぎるとコンテンツ全体が見えなくなってしまうので、そこまで狭いピッチは必要ないと思うかもしれません。
ただ、実際に見ていただくと「やっぱり綺麗ですね」とおっしゃるお客様も多くいらっしゃいます。近距離から見ても美しい映像は、直感的な高級感や質の高さを伝えます。
6. 消費電力:省エネで持続可能な運用に
大きな面積のディスプレイや長時間稼働するような環境では、消費電力の違いが年間の運用コストに大きく影響します。
MiPはSMDと比較して、基板に実装されている接点に余計な電極がありません。余分なものを電気が通過しないのでロスが少なく、エネルギー効率に優れています。
消費電力はCOBと同程度ですが、両者とも従来のSMDよりも省電力性に優れており、長期的な運用コストの削減に貢献します。
7. メンテナンス・修理:長期運用の信頼性
導入後の長期運用を考えると、メンテナンス性と修理のしやすさは総所有コスト(TCO)に直結します。
COBは、アルミ基板に直接LEDチップを張り付け、表面が樹脂でコーティングされているため、故障した部分だけ修理することが難しく、修理したあとが残る場合があります。
一方、MiPは故障した箇所のみを交換・修理できる構造になっており、長期運用時の保守負担を大きく軽減できます。
8. コスト:初期費用と運用費用のトータルで見る
GOB(SMD)は量産実績のある技術のため、初期導入コストは最も低く、予算制約の厳しいプロジェクトに適しています。
COBの初期導入コストはMiPと同等程度です。
COBとMiPは今は最先端のものがほしい方・ブランド効果を高めたい方におすすめですが、これから量産され始めるとコスト面での効果も期待できます。