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イマーシブ体験で創る都市の象徴
ーアメリカ最新LED活用事例レポート

映像の力で人を惹きつけ、記憶に残る体験を生み出すにはどうすればいいのか?

その答えの一つが、LEDディスプレイやプロジェクションマッピングを活用した「イマーシブ体験」です。360度を映像で包み込み、五感を刺激する没入型の体験は、観客を「映像の世界」に引き込みます。

いま、こうした「イマーシブ体験(没入体験)」が世界的に注目を集めています。

HIBINOではすでに実績もございますが、今後ますます拡大すると思われる体験領域の日本におけるリーダーになるべく、今回アメリカの最新イマーシブ施設8ヶ所を実際に体験してきました。そこで見たのは、映像表現の可能性を最大限に活用した、これまでにない体験の数々でした。

今記事では、都市の新たなシンボルとして機能する「イマーシブ体験」の最前線をご紹介します。

▼イマーシブ施設 導入事例
大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」XD HALL『モンスターハンター ブリッジ』



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LEDディスプレイの最適な活用・選定方法

なぜ今「イマーシブ体験」なのか?

世界中でイマーシブ体験への注目が高まっている背景には、どのような理由があるのでしょうか。
まずは「イマーシブ」の定義と、その可能性について詳しく見ていきましょう。

イマーシブとは?


"immersive"とは「没入型の」「入り込んだような」という意味で、映像や音、空間演出により、観客がその世界に入り込んだような体験を得られる演出手法のことです。

VRやARと混同されがちですが、LEDディスプレイによるイマーシブ体験は、ゴーグルやヘッドセットを必要とせず、裸眼で360度の映像に包まれることが特徴です。装着の煩雑さがないだけでなく、「体験」を複数人で「同時に」「共有」できることが大きなメリットとなっています。デバイスを用いないことで、その場にいる人たちが会話しながらコンテンツを楽しむといった体験×人とのつながり(体験の共有)ができることも可能です。

これまでにも映画館やVR体験などで「没入感」を得られるコンテンツは存在してきましたが、LEDディスプレイを用いたイマーシブ体験は、より視野全体を覆い、リアルな質感や奥行きを感じさせます。誰でも直感的に楽しめる、多くの人と体験を共有できるという点から、今多くの施設で導入が進んでいます。

イマーシブ体験が注目される3つの理由


では、なぜ今イマーシブ体験がこれほど注目されているのでしょうか。その背景には、いくつかの理由があります。中でも代表的な3つの理由をご紹介します。

①「リアルな体験」への回帰


コロナ禍を経て、リアルな場所で人と共有する時間の価値が見直されています。デジタルでは代替できない、「その場に行かなければ味わえない」感動体験を求める動きが活発化しており、イマーシブ体験は、まさにこの「リアルな場」の価値を最大化する手法として支持されています。

②記憶と感情に残る、圧倒的な顧客体験価値


従来のディスプレイでは不可能な、記憶に強く残る体験を提供できます。観客は単なる「視聴者」から「体験者」になり、その感動は長期間持続します。商品やブランドの価値を直感的に伝える上でも大きな効果を発揮することも、注目される理由です。

③SNS時代に適した「拡散される体験」


映像映えする空間設計やインパクトある演出は、SNSとの相性も抜群です。イマーシブ施設で撮影された動画や写真は、InstagramやTikTok、YouTubeなどで広くシェアされ、体験自体がプロモーションツールとして機能します。「体験したくなる」「シェアしたくなる」コンテンツとして、自然な口コミ効果を生み出しています。

実際に行ってきました!アメリカのイマーシブ体験施設レポート

それでは、実際にアメリカで体験してきた最新のイマーシブ施設8ヶ所をご紹介します。
スポーツ観戦からアート体験まで、多様なアプローチでイマーシブ体験を実現している施設の現地レポートをお届けします。

1. スポーツ観戦の革命【Cosm Los Angeles】


Cosm Los Angelesでのスポーツ観戦の様子
まるでスタジアムにいるような臨場感

Cosm Los Angelesは、直径87フィート(約26.5メートル)の8K LEDドームスクリーンで、スポーツやアート、教育コンテンツをその場にいるかのように体感できるイマーシブ体験型施設です。

従来から、スポーツバーなど中〜大型映像装置でスポーツ中継を観戦しながら、飲食するという施設はありましたが、半ドーム型の巨大ディスプレイと大音量で、臨場感たっぷりにスポーツを楽しめるという点が新しい特徴です。

バスケットボールのコート脇やゴールポストへカメラが設置してあり、実際の会場で観戦しても得られないような映像体験が可能となります。LEDディスプレイの裏側にスピーカーを設置し、ディスプレイに開けられた細かい穴から音を出力する設計により、しっかりとした音の定位が得られ、映像と音が一体となった高い臨場感を実現しています。

Cosm Los Angelesの観客席の写真
スクリーン側から観客席を見たパノラマ合成写真


【Cosm Los Angelesの基本情報】
◼︎場所:カリフォルニア州イングルウッド

◼︎The Dome(ドーム)
サイズ:直径約87フィート(約26.5メートル)
解像度:8K LEDドームスクリーン
特徴:
観客を完全に包み込むような「Shared Reality(共有現実)」体験を提供
スポーツ観戦、ライブイベント、アート、教育コンテンツなどを、まるでその場にいるかのように体感可能

◼︎The Hall(ホール)
装置:壁一面の巨大LEDディスプレイ
用途:複数のスポーツイベントを同時に視聴できるマルチビュー体験を提供

◼︎体験内容:
・NBAやUFCなどのライブスポーツ
・没入型アートショーや映画上映
・教育的なフィールドトリップ体験


2. 五感を刺激する没入空間【Illuminarium Las Vegas】


Illuminarium Las Vegasの内部写真
VRゴーグル不要で没入体験できる

Illuminarium Las Vegasは、視覚・聴覚・触覚・嗅覚を駆使したイマーシブ体験が楽しめる完全没入型施設です。複数の4Kレーザープロジェクターと指向性スピーカー、振動床や香りの演出を組み合わせた空間で、五感すべてで没入できる体験が可能です。

VRゴーグルが不要な点もユーザーに優しく、誰でも自然に楽しめます。プロジェクションマッピングを利用した施設は日本にもありますが、施設のスケールの大きさと指向性を持った良質な音響が魅力です。

エントランスには、レプリカ含め、アーティストが使用した楽器やサインが並び、音響に対するこだわりが感じられます。ロック音楽体験ができるコンテンツ「AMPLIFIED」は70年代から80年代の曲を体験でき、中高年の方は懐かしい体験ができます。

Illuminarium Las Vegasの内部写真


【Illuminarium Las Vegasの基本情報】
◼︎場所:ネバダ州ラスベガス

◼︎映像技術
4Kレーザープロジェクション:
・高精細な4K解像度のレーザープロジェクターを多数使用
・壁面全体にわたる360度の映像投影が可能
・プロジェクションマッピング技術により、空間全体が映像に包まれる

◼︎音響システム
360°オーディオビーム技術:
・指向性のある音響で、観客ごとに異なる音体験を提供
・音が空間内を移動するようなリアルな演出が可能

◼︎インタラクティブ要素
床面振動(インフロア・ハプティクス):
・地面が象の足音で揺れるなど、物理的な振動で臨場感を演出
香りの演出:
・シーンに応じた香りを空間に拡散し、嗅覚も刺激

◼︎体験内容:
・宇宙探査(Space: A Journey to the Moon and Back)
・サファリ体験(WILD)
・ロック音楽体験(AMPLIFIED)
・夜限定の大人向け体験(After Dark)


3. 体験型複合施設【AREA15】


AREA15の内部写真VRアトラクション

ラスベガスにある没入型エンターテインメント複合施設で、アート、テクノロジー、音楽、映像が融合したイマーシブ体験を提供しています。

VRを思う存分楽しめる施設で、多くは単に座ってVRゴーグルをつけて視聴する体験ではなく、体も使って楽しめる施設である所に工夫がみられます。自分の体を使いながら、別世界の体験をすると没入感が増すことが分かった貴重な体験でした。

AREA15の内部写真VRゴーグルをつけて鳥になれるアトラクション


【AREA15の基本情報】
◼︎場所:ネバダ州ラスベガス

AREA15自体は複数のアトラクションや展示を内包する「体験型ディストリクト」であり、各アトラクションごとに異なる映像技術が使われている。以下は代表例

◼︎ Omega Mart(オメガマート) by Meow Wolf
映像技術:
・プロジェクションマッピング:壁やオブジェクトに映像を投影し、空間全体を変容させる
・インタラクティブ映像:観客の動きに反応するセンサー連動型の映像演出
・LED照明と映像の融合:色彩豊かな照明と映像がシンクロし、サイケデリックな空間を演出

◼︎LIFTOFF
映像体験:
・気球型のライドで上昇しながら、ラスベガスの夜景とともに360度の映像演出を楽しめる
・映像とリアルな景色が融合する「拡張現実的」な体験

◼︎ Wink World
装置スペック:
・ミラーインフィニティルーム:鏡とLED、音楽、映像を組み合わせた空間
・3D映像:クロマデプスグラス(3Dメガネ)を使って、奥行きのある映像体験が可能
・6つの部屋で異なる映像と音楽のテーマを展開

◼︎体験内容:
アート展示、VR体験、インタラクティブゲーム、レストラン、バーなど


4. アート×テクノロジー【ARTE MUSEUM】


ARTE MUSEUMの内部写真
滝を表現したコンテンツ

ARTE MUSEUM Las Vegasは、韓国のデジタルデザイン企業 d’strict によってプロデュースされた、30,000平方フィート(約2,800㎡)の没入型メディアアート空間です。

テーマは「ETERNAL NATURE(永遠の自然)」で、視覚・聴覚・嗅覚を含む五感を刺激する体験が特徴です。テーマごとに多数の部屋に分かれており、各部屋では異なるコンテンツが楽しめます。

テーマごとに香りの演出もされており、気に入ったテーマの香りはお土産として購入することも可能です。各テーマ(部屋)は、1コンテンツではなく、複数のコンテンツが用意されており、長時間飽きない工夫がされていました。コンテンツの種類が豊富で、長時間楽しめるイマーシブ体験施設です。

ARTE MUSEUMの内部写真
足元まで波が来ているように見える海岸コンテンツ


【ARTE MUSEUMの基本情報】
◼︎場所:ネバダ州ラスベガス

◼︎映像技術:4K以上の高精細プロジェクターを多数使用

◼︎プロジェクションマッピング:空間の構造に合わせて映像を変形・投影

◼︎音響システム:映像と連動した空間音響設計
映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』などで知られる作曲家チャン・ヨンギュ氏が音楽を監修

◼︎香りの演出:フランス・グラースの香水学校の教授マリアンヌ・ナヴロッキ氏が監修

◼︎照明・空間演出:映像と連動した照明制御により、時間や季節の変化を再現


5. ゴッホの世界観へ没入体験【Immersive Van Gogh】


Immersive Van Goghの内部写真
ホール全体のパノラマ合成写真

Immersive Van Gogh Las Vegasは、ラスベガスの「Shops at Crystals」内にある没入型アート体験施設で、2025年には「The Next Chapter」としてリニューアルされました。この展示は、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの作品を映像・音響・空間演出によって再構築し、観客がまるで絵画の中に入り込んだかのようなイマーシブ体験を提供します。

仕切りの無い大きなホールいっぱいに投影され、ゴッホの人生をストーリーとして作品(絵画)もコンテンツ化して体験できます。他の施設と異なり、床面へ投射するプロジェクターも豊富に設置されており、天井以外全てゴッホの世界観に浸ることができます。ゴッホ好きの方はもちろん、絵画好き、芸術好きの方におすすめの施設です。

Immersive Van Goghの内部写真
ゴッホの生涯と絵をモチーフにした様々なコンテンツが映し出される


【Immersive Van Goghの基本情報】
◼︎場所:ネバダ州ラスベガス

◼︎映像装置:
数百台のプロジェクターを使用し、30,000平方フィート(約2,800㎡)の空間全体に映像を投影

◼︎音響システム
シンクロナイズド・サウンドスケープ:
映像と完全に同期した音楽と効果音により、感情的な没入感を強化

◼︎展示内容:
・ヴァン・ゴッホの300点以上の作品を再構成
・「ひまわり」「星月夜」「夜のカフェテラス」などの代表作を含むアーティストの人生と感情の変遷を映像で表現


6. テクノロジーとエンターテインメントを融合【ATOMIC GOLF】


ATOMIC GOLFの内部写真ATOMIC GOLFの内部(エントランスを囲むLEDが気分を高揚させる)

ラスベガスにある「ATOMIC GOLF」は、最新のテクノロジーとエンターテインメントを融合させたゴルフ体験施設で、特に大型映像装置を中心とした観戦・娯楽体験が魅力です。

ゴルフの試合(マスターズ、PGAツアー、ライダーカップなど)やスポーツイベントを臨場感たっぷりに観戦可能で、多数のスクリーンが施設内に配置され、どこにいても試合を楽しめます。

入館手続きを済ませて施設に入るとすぐに柱と壁へ巨大なLEDディスプレイがありテンションが上がりますが、この施設の楽しみ方はそこからです。一見普通のゴルフの打ちっぱなしですが、打ったゴルフボールをトラッキングする技術が組み込まれており、ゲーム性の高い従来にないゴルフ体験が可能となります。

ATOMIC GOLFの内部写真開放感のあるゴルフ練習場

ATOMIC GOLFの内部写真ゴルフボールをトラッキングする技術


【ATOMIC GOLFの基本情報】
◼︎場所:ネバダ州ラスベガス

◼︎映像装置
57フィート(約17.4メートル)の超大型HDビデオウォールを設置

◼︎構成
全4フロア、総面積10万平方フィート
最大2,000人以上を収容可能
各階にバーやレストランを完備
VIPエリアやプライベートラウンジもあり


7. 世界最高峰の技術結集【MSG Sphere】


夜のMSG Sphereの外観写真
都市の中でも一際目を引く外観

2023年9月にラスベガスにオープンした球体型の大型シアターです。

これまで半世紀にわたって数多くの映像・音響施設を体験してきましたが、その中でも間違いなく頂点に立つ施設です。最先端の技術だけでなく、コンテンツの作り込みにも並々ならぬ情熱を感じられます。

事前にどれだけ詳しい説明を受けていても、実際の体験は想像をはるかに超えるクオリティで、気がつけば仕事のことを完全に忘れて映像世界に没入してしまいます。人生で一度は必ず体験していただきたい、世界最高峰のイマーシブ体験施設です。

日中のMSG Sphereの外観写真日中外観(1ユニット48個のLEDが付いている)


Sphereについての基本情報などはこちらの記事で詳しく解説しています。

8. 街全体がディスプレイ【Fremont Experience】


Fremont Experienceの天井の写真
天井を覆う巨大なLEDディスプレイ

ラスベガス・ダウンタウンの街路450メートルを覆う巨大な天井LEDディスプレイです。2019年の大規模リニューアルにより、高輝度LEDに進化しました。

リニューアル前と比較すると、輝度の向上は圧倒的で、夜の街が別世界のような幻想的な空間に変貌します。以前は装飾的な「にぎやかし」の役割が強かったディスプレイが、本格的なコンテンツ配信を意識した映像表示装置へと進化しています。相変わらず大音量での音響演出は健在で、視覚と聴覚の両方で強烈な刺激を提供する、エンターテインメント性重視の設備となっています。

リニューアル前後の比較写真
リニューアル前後の比較(左リニューアル前、右リニューアル後)
輝度が各段に違う


【Fremont Experienceの基本情報】
◼︎場所:ネバダ州ラスベガス・ダウンタウン、Fremont Street

◼︎概要
全長:約450メートル
高さ:約30メートル
開催時間:毎日18:00〜深夜0:00(または2:00)、毎時00分に上映

◼︎映像装置
・LED数:約1,250万個のLED
・スクリーン面積:約4,800平方メートル
・音響:周囲に設置された高出力スピーカーによるサラウンド音響

まとめ

今回のアメリカ最新イマーシブ施設体験を通じて見えてきたのは、LEDディスプレイの可能性は私たちの想像をはるかに超えているということです。LEDディスプレイは単なる「情報を映すための装置」から、「都市や空間そのものを構成する演出装置」へと進化してきています。

各施設で感じたのは、映像の美しさやスケールだけではなく、空間全体を使って感情や記憶に訴えかける“体験そのもの”を生み出しているという点でした。

そしてその鍵を握るのが、没入感を支える高精細なLEDディスプレイです。平面だけでなく、曲面や天井、床といった空間を包み込むように設計されたディスプレイが、かつてないインパクトとリアリティを生み出しています。

ユーザーの感覚を動かし、行動へつなげるための新しい表現手段として、LEDディスプレイの可能性はこれからさらに広がっていくと感じています。

「映像で空間を変えたい」「施設に“体験”を導入したい」など、LEDディスプレイの活用をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。お客様の課題や目的に合わせた、最適なご提案をいたします。

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