TOP > LEDディスプレイ導入事例 > 新社屋建設にともなう大型オフィスへのLEDディスプレイ導入事例

LEDディスプレイ導入事例
新社屋建設にともなう大型オフィスへのLEDディスプレイ導入事例

オフィスは今、単なる「働く場所」から、「企業の文化や価値を伝える場所」へと変化しています。
近年では、人手不足や採用競争の激化を背景に、社員の定着率向上や新卒採用を目的としてオフィス環境を見直す企業が増えてきました。
コロナ禍を経て働き方が多様化したこと、そして戦後に建設されたオフィスビルの耐用年数がちょうど更新期を迎えていることも、この流れを後押ししています。

今回ご紹介するのは、堅実な業界に属するある大手企業A社が、新社屋建設を機にLEDディスプレイを活用した映像・音響・照明の統合システムを導入し、訪れる人にも働く人にも心地よいオフィスへと生まれ変わらせた事例です。
LEDディスプレイを中心に据えた空間づくりの背景と成果を、A社の田中様（仮名）と、施工を担当したヒビノの平子の2名にインタビューしました。

目的は明確。だが空間演出の方法がわからない

――新社屋建設にあたって、どのような目的があったのでしょうか？

田中様：大きく分けて二つの目的がありました。一つは外部に対する企業イメージの向上です。取引先には好印象を持っていただけて、就活生には「この会社で働いてみたい」と思ってもらえる。そんな空間を実現したいと考えました。
もう一つは内部向けで、福利厚生の一環として社員がリラックスできるスペースを整えることです。リフレッシュして業務に戻ることができれば、生産性向上にもつながると考えました。

――目的は明確だったということですが、何か課題はありましたか。

田中様：実は、目的ははっきりしていたものの、具体的にどのような空間をつくればよいのか、正直なところノウハウがなく困っていました。漠然と「何かやらないと」という状態でした。

平子：それは決して珍しいことではありません。具体的なイメージをお持ちのお客様は100件に1件程度で、ほとんどの方が「何かやらないと」という段階でお問い合わせいただきます。そのため、「具体的なことが決まっていないから」と遠慮いただく必要はありません。お気軽にご相談ください。

田中様：さらに懸念していたのが、ディスプレイ・音響・映像・照明の設計をそれぞれ別の業者に任せると、調整に多くの時間と労力がかかると予想される点でした。

平子：複数社に依頼すると、御社側で「取りまとめ役」が必要になりますし、窓口が分散してしまうと、誰に相談していいかわからない状況になってしまいますよね。例えば、ディスプレイの画質についての問い合わせ先は、ディスプレイの施工会社なのか、映像制作会社なのかわからず、「それはうちじゃない」とたらい回しにされるケースも珍しくありません。

田中様：ヒビノさんであれば、ディスプレイ・音響・映像・照明をワンストップで対応いただけます。窓口が分散せず、かつ複合的にご提案いただけると考え、問い合わせをしました。

感動とリラックスを叶えるLEDディスプレイ・音響の設計

――ヒビノからはどのような提案をされたのでしょうか。

田中様：エントランスとリラックススペースの二つの空間について、それぞれ目的に合わせた設計をご提案いただきました。

エントランス ― 企業イメージを“体験”に変える

――まずエントランスについて教えてください。

田中様：エントランスの目的は、企業イメージの向上、顧客や就活生に「この会社と取引したい」「この会社で働きたい」と思っていただくことでした。ただ、単にディスプレイで会社案内映像を流すだけでは効果は期待できません。そういう企業はよくあるので、見てもらえたとしてもすぐ忘れられてしまうからです。

――忘れられないために、どのような工夫をしたのでしょうか。

平子：単なる会社案内ではなく、企業の価値や理念を"体験"として伝えることで、"感動"を伴って知っていただく必要があると考えました。そのために、ディスプレイは、1.2mmピッチ、高精細、4Kの大型LEDディスプレイの設置を提案しました。人間が得る情報の80％は視覚に頼っているため、高画質＆大画面で惹きをよくして、まず見てもらうきっかけを作ることが重要なんです。

――映像コンテンツはどのようなものを用意されたのでしょうか。

田中様：自然をテーマにしたコンテンツを大画面で映して訪れる人の目を引きつけ、その後自社の環境配慮への取り組みを紹介する映像や、開発した新技術の紹介コンテンツを映しています。
今、企業は地球環境に配慮することが求められています。そこで、環境に配慮していることを想起させる、普段見ないような自然や地球をテーマにした映像を制作していただきました。
環境配慮でイメージアップを図り、技術開発で先進性や将来性をアピールできる内容になっています。ヒビノさんは、映像の質はもちろん、制作もスムーズに進行いただいたので大変満足しています。

平子：当社の大きな強みは、超大型ディスプレイで映像製作の途中経過でも映像を確認できる点です。映像クリエイターがコンテンツを超大型LEDディスプレイに映し、実際に試しながら制作することができます。
よくある失敗ケースとして、30インチ程度の画面でテストしてコンテンツを制作したものの、実際に大画面で映すと粗さが目立つということがあります。「こんなはずじゃなかった」が発生しづらいため、初期から完成度の高いコンテンツが作成できるんです。

――映像以外にも工夫された点はありますか。

平子：エントランスで創立記念日などの社員イベントをおこなうこともあるとお聞きしたので、柔軟性のある映像送出システムを設計しました。パソコンを接続すれば、スライドや映像を簡単に上映できるため、プレゼンテーションや式典にも活用できます。
音響についても、上質なコンテンツと高精細、大画面に相応しいPAシステムを導入し、日常の使用だけでなく、様々な使い方に対応できる構成にしました。

リラックススペース ― オフィスの中に“別世界”を

――次に、リラックススペースについて教えてください。

田中様：リラックススペースの目的は、福利厚生の一環として社員にリラックスしていただき、リフレッシュして生産性を上げること、そして快適なオフィスで「働き続けたい」と思ってもらえる職場にすることでした。ヒビノさんからは「非日常の体験を通じて再起動できる空間」をテーマにした設計をご提案いただきました。

――具体的にはどのようなディスプレイを採用したのですか。

平子：リラックススペースには、2.5mmピッチ、横幅3メートル、角のない優しいフォルムのディスプレイを採用しました。現代では朝起きてから寝るまで、プライベートでも仕事でもスマホやPCなど四角いモニターを見続けています。そのため、単なる四角いディスプレイでは非日常感やリラックス感は演出できないと考えました。

――コンテンツはどのようなものを用意しましたか。

平子：オフィスとはある種対極的な「自然を感じるコンテンツ」を用意することで、非日常を演出しました。具体的には、春には桜と小鳥のさえずり、夏には海と波の音、秋には紅葉、冬には雪の映像など、四季の移ろいを感じられる映像です。
季節ごとに流れるコンテンツを変えることで、空間のマンネリ化も防止できます。CG（映像）と、サンプリング音源から新規に楽曲を製作し、別世界を感じられるようにしました。
また、スピーカーは小型のものを多数配置し、それぞれに異なる音を割り当てることで、ある場所では鳥の声が聞こえ、別の場所では葉の揺れる音が響くといった自然に近い音響体験ができるようにしています。

田中様：造花などで空間を変更すると数日閉鎖する必要があるような大がかりな作業になりますが、映像であればすぐに切り替えできるのも利点ですね。

――将来的な拡張性は考慮されたのでしょうか。

平子：もちろんです。他の用途に柔軟に対応できるようにシステム設計しました。レクリエーションや小規模イベントにも対応可能で、スピーカーを切り替えることで、右側のスピーカー群からは演者Aの声、左側のスピーカー群からは演者Bの声を流すといった使い方もできます。こうした使い方も提案時に説明させていただきました。