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屋外LEDディスプレイに欠かせない「IP規格」とは?
防水・防塵の基本をやさしく解説

LEDディスプレイの製品カタログを開くと、スペック欄に「IP65」「IP67」といった表記が並んでいるのを目にします。

これは防水・防塵の保護レベルを示す国際規格ですが、数字が何を意味しているのか、どこまでの環境に対応できるのかを正確に把握している方は多くないかもしれません。

特に屋外にLEDディスプレイを設置する場合、雨や砂塵といった設置環境リスクへの耐性は製品選定の重要な判断基準になります。

設置環境に合った製品を選ぶために欠かせないIP規格の基本を、本記事では読み方から各等級の意味、知っておきたい注意点まで、わかりやすく解説します。


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IP規格って何?「防塵」と「防水」の保護レベル

IP規格の「IP」とは、Ingress Protection(侵入保護)の略称です。

電気機器が外部からの固形物(ほこりなど)や水の侵入に対して、どの程度保護されているかを数値で示す国際規格で、IEC(国際電気標準会議)がIEC 60529として策定しました。

日本ではJIS C 0920として採用されており、スマートフォンの製品仕様などでも広く使われている身近な規格です。

IPコードは「IP」の後に2桁の数字が続く形式で表記されます。たとえば「IP65」であれば、1桁目の「6」が防塵性能を、2桁目の「5」が防水性能を、それぞれ示しています。
数字が大きいほど保護レベルが高いというのが基本的なルールです。

IP65の例

なお、防塵・防水のどちらか一方だけを示す場合は、省略する側を「X」で表記します。「IP6X」であれば防塵性能のみを示し、「IPX5」であれば防水性能のみを示す、という具合です。

まずはこの「2桁の数字がそれぞれ何を意味しているのか」を正確に把握することが、IP規格を読み解くうえで大切です。

IP規格の詳しい見方は?等級ごとに「何から守れるか」を知る

IP規格の2桁の数字は、それぞれ段階的に定義されています。

ここでは、LEDディスプレイの選定においてよく登場する等級を中心に、具体的な意味を解説します。

防塵等級(1桁目:0〜6)


防塵等級は、外部からの固形物の侵入をどの程度防げるかを0〜6の7段階で示します。

等級0は「保護なし」、等級1〜4は手や指、工具、細いワイヤーなど、侵入物のサイズに応じた段階的な保護を意味します。

LEDディスプレイの選定で特に注目すべきは、等級5と等級6です。等級5は「粉塵の侵入を完全には防げないが、機器の動作に影響を与えない程度に保護する」レベル、等級6は「微細な粉塵も一切侵入しない完全防塵」のレベルです。

屋外に設置するLEDディスプレイでは、砂塵が日常的に付着するため、等級5以上が求められるのが一般的です。















































等級 保護内容 分かりやすく言うと
0 保護なし 防塵性能なし
1 直径50mm以上の固形物を防ぐ 手のひらサイズの異物が入らない
2 直径12.5mm以上の固形物を防ぐ 指が入らない
3 直径2.5mm以上の固形物を防ぐ 工具やワイヤーが入らない
4 直径1mm以上の固形物を防ぐ 細いワイヤーも入らない
5 粉塵の侵入を防ぐ(完全ではない) 動作に支障がない程度に防塵
6 完全防塵 粉塵の侵入を完全にシャットアウト



防水等級(2桁目:0〜8)


防水等級は、水の侵入に対する保護レベルを0〜8の9段階で示します。こちらも等級が上がるにつれて、より厳しい条件に耐えられることを意味しています。

等級0は「保護なし」です。等級1〜2は上方から落ちてくる水滴に対する保護で、軽い小雨や少し斜めの雨に耐えられる程度のレベルです。等級3〜4になると、シャワー程度の散水や全方向からの水しぶきに対応します。

LEDディスプレイの屋外設置で特に重要になるのは等級5以降です。等級5は「全方向からの噴流水」、つまりホースで水をかけても内部に侵入しないレベル。等級6はさらに強い噴流水にも耐えられます。

等級7は「水深1メートルに30分間沈めても浸水しない」、等級8は「メーカーが定める条件下で継続的に水没しても問題ない」レベルです。

























































等級 保護内容 分かりやすく言うと
0 保護なし 水に対する保護能力なし
1 垂直に落ちる水滴を防ぐ 軽い小雨程度に耐えられる
2 15°傾斜の水滴を防ぐ 少し斜めの雨に耐えられる
3 60°以内の噴霧水を防ぐ シャワー程度の散水に耐えられる
4 全方向からの飛沫を防ぐ あらゆる方向からの水しぶき程度に耐えられる
5 全方向からの噴流水を防ぐ ホースで水をかけても耐えられる
6 強い噴流水を防ぐ ホースで強めに水をかけても耐えられる
7 一時的な水没に耐える 水に沈めても30分は耐えられる
8 継続的な水没に耐える 長時間水中でも使用可能

「IP67 > IP65」は間違い?数字が大きいほど高性能とは限らない

ここまで読んで、「数字が大きいほど強い。つまりIP67はIP65の上位互換だろう」と思われた方も多いのではないでしょうか。実はここに、IP規格を理解するうえで最も見落とされやすいポイントがあります。

それは、防水等級の5・6と、7・8では「テストの種類自体が異なる」ということです。

等級5と6は「動水圧」のテストです。ノズルやホースから勢いよく水をかけ、その噴流水に対して内部への浸水を防げるかどうかを確認します。屋外で雨風にさらされるLEDディスプレイにとっては、まさにこのような「横から叩きつけるような水」への耐性が重要になります。

一方、等級7と8は「静水圧」のテストです。機器を水中に沈め、一定時間・一定深度で浸水しないかどうかを確認します。こちらは「水没への耐性」であり、水を勢いよくかけることは想定していません。

つまり、IP67の製品は「完全防塵で、水深1メートルに30分沈めても大丈夫」ではあるものの、IP65が想定する「全方向からの噴流水」のテストに合格しているとは限らないのです。

もし製品が噴流水と水没の両方に対応している場合は、「IPX5/IPX7」のように、対応する等級が併記されます。カタログに「IP67」とだけ記載されている場合、噴流水に対する保護が保証されていない可能性がある点に注意が必要です。

LEDディスプレイの屋外設置を考える場合、最も現実的な脅威は「強い雨」や「風で吹きつけられる水」であり、水中に沈むことはまずありません。この観点から言えば、屋外壁面への設置にはIP65やIP66のほうが、実は理にかなったスペックであるケースが多いのです。

防水・防塵性能が不十分だと、LEDディスプレイにどんな影響がある?

ここまでIP規格の読み方を解説してきましたが、そもそもLEDディスプレイの選定において、なぜIP規格がこれほど重要なのでしょうか。

LEDディスプレイは、無数のLED素子と電子基板の集合体です。1枚のモジュールに数百〜数千個のLED素子が実装されており、それらの素子が正確に制御されることで映像が表示されます。

この精密な構造に水分や粉塵が侵入すると、基板のショートや素子の劣化を引き起こし、画面の一部が映らなくなるといった故障に直結します。

屋外に設置する場合、ディスプレイは雨、風、砂塵、潮風、排気ガスなど、多様な環境リスクに常時さらされます。しかし、リスクがあるのは屋外だけではありません。工場や物流倉庫のように粉塵が舞う環境、飲食店の厨房付近のように蒸気が発生する場所では、屋内であっても適切な防塵・防水性能が求められます。

IP規格の確認を怠ると、設置環境に対して保護性能が不十分な製品を選んでしまい、ディスプレイ内部への浸水や粉塵の侵入による故障につながる可能性があります。「設置環境に対して十分な保護性能を持っているか」を判断するための客観的な指標として、IP規格は欠かせない存在なのです。

近年のLEDディスプレイ市場では、屋外用製品はIP65以上が標準的なスペックとなりつつあります。屋外への設置を検討している場合は、最低でもIP65を基準に製品を比較するとよいでしょう。

まとめ

IP規格は、LEDディスプレイの防塵・防水性能を客観的に示す国際規格です。「IP」の後に続く2桁の数字を正しく読み解くことが、設置環境に合った製品を選ぶために欠かせない条件の一つになります。

本記事のポイントを改めて整理すると、1桁目(0〜6)は防塵性能、2桁目(0〜8)は防水性能を示すこと。そして、防水等級の5・6(噴流水への保護)と7・8(水没への保護)はテストの種類が異なるため、「IP67はIP65の上位互換」とは限らないこと。この2点を押さえておくだけで、カタログスペックの見方が大きく変わるはずです。

ただし、IP規格はあくまで製品選定における基本指標の1つです。屋外にLEDディスプレイを設置する場合、IP規格に加えて輝度、耐候性、設置環境の判断、メンテナンス体制など、確認すべきポイントは他にもあります。

LEDディスプレイの設置後に十分な訴求力を発揮し、長期にわたって安定運用できるかどうかは、導入前の製品選定にかかっています。
「自社の設置環境にはどのIP等級が適切か」「設置後にしっかり効果を発揮できるディスプレイを選ぶにはどうすればよいか」など、具体的な選定でお悩みの際は、お気軽にヒビノまでご相談ください。

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