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LEDディスプレイvsプロジェクター、
コントラスト比を単純比較できない理由

映画館や展示会、商業施設などで映像を目にするとき、「同じ映像なのに鮮明さが違う」と感じた経験はないでしょうか。その違いを大きく左右する要素のひとつが「コントラスト」です。コントラストは映像のくっきり感や奥行き感を決める重要な要素であり、特にディスプレイ選びにおいては軽視できません。

本記事では、映像の要ともいえる「コントラスト」の基礎を解説し、プロジェクターとLEDディスプレイの仕組みを比較しながら、その特徴を解説します。


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LEDディスプレイの最適な活用・選定方法

コントラストとは?映像の「見やすさ」を決める重要な要素

コントラストとは、対照(させる)、対比(する)などの意味を持つ英単語で、画像や映像では「画面中の最も明るい部分と最も暗い部分の輝度の差」や「明暗比」のことを指します。

具体的には、コントラスト比として数値で表現され、「1000:1」のような形で記載されます。これは、黒の輝度を1としたときに、白の輝度がその1000倍であるという意味です。

コントラスト比が高いほど、色の違いがくっきりと表現された鮮やかな表示になります。そのため、映像が鮮やかで、見る人の目を惹きつけるには、このコントラストが非常に重要なのです。

なお、コントラストの重要さは、人間の目の仕組みにも関連性があります。詳しくはこちらの記事で解説していますのでご参照ください。
LEDディスプレイとプロジェクターの違い。人の目の構造と映像認識の仕組みから解説!

高コントラストと低コントラストの違い(イメージ)
高コントラストと低コントラストの違い(イメージ)

コントラストが映像に与える影響


コントラストを上げていくと、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くなり、明暗のくっきりとした像になります。

しかし、極端に上げすぎると「白飛び」(ある程度以上明るい箇所がすべて真っ白になる)や「黒潰れ」(ある程度以上暗い箇所がすべて真っ黒になる)が生じ、最終的には白黒と少数の原色のみの像となってしまいます。

一方、コントラストを下げていくと、明るい部分は暗く、暗い部分は明るくなり、明暗の差の少ないのっぺりとした像になります。コントラストを最低まで下げると、色の違いがすべて失われ、像全体が灰色一色で塗りつぶされたようになります。

なお、画面の明るさ(最大輝度)とは独立した指標であり、全体的に画面は暗いがコントラスト比は高い状態も、画面は明るいがコントラスト比は低い状態もあり得ます。

プロジェクターの映像の仕組みとコントラスト

プロジェクターは長年、大画面表示の主流として利用されてきました。特にシアタールームやプレゼンテーション用途では多くの実績がありますが、コントラストという観点で見ると、プロジェクターにはいくつかの弱点があります。

プロジェクターの仕組みと、2つのコントラストについて解説します。

プロジェクターの仕組み


プロジェクターは、内部の光源から発せられた光をレンズ系を通してスクリーンや壁面に投影する仕組みです。この投影方式には、映像品質に影響する根本的な特徴があります。

まず、プロジェクターは外光や環境光の影響を受けやすい構造です。投影された映像は、スクリーンに反射してから人の目に届くため、周囲の明るさによって見え方が大きく左右されます。これは、映画館が暗転する理由の一つでもあります(没入感を高める等の理由もあります)。

また、プロジェクターは、「完全な黒」を表現できません。投影方式の特性上、黒を表示する際も微量の光が放射されるため、真っ黒ではなく暗いグレーのような状態になります。

さらに、会議室の照明を点けたまま、または日中の自然光が入る環境でプロジェクターを使用するなど明るい環境では、映像全体が白っぽくぼんやりとした印象になり、文字が読みにくくなったり、色が薄く見えたりします。

プロジェクターにおける2つのコントラスト


プロジェクターのコントラスト比には、「ダイナミックコントラスト」と「ネイティブコントラスト」の2種類があり、これらは測定方法に違いがあります。

ネイティブコントラスト比


ネイティブコントラスト比は、レンズの絞り機能などの調節を加えない状態でのコントラスト比です。これはプロジェクター本来のコントラスト性能を示す数値です。

ダイナミックコントラスト比


ダイナミックコントラスト比とは、レンズ部に明るさの絞り機構をつけ、シーンに応じて光量を自動調整することでコントラスト比を向上させた数値です。

明るいシーンでは絞りを開けて光量を増やし、暗いシーンでは絞りを閉めて光量を減らすことで、理論上は非常に高いコントラスト比を実現します。

しかし、ダイナミックコントラストで表されたコントラスト比は、本来のコントラスト比である「ネイティブコントラスト」とは条件が異なるので、この2つを単純に比較はできません。非常に高い数値に見えても、実際には同じ数値ではないので注意が必要です。

実際の仕様欄でも「ダイナミックコントラスト」で記載されているケースがよくあるため、必ず「ネイティブコントラスト比」で判断することが重要です。

ネイティブコントラストとダイナミックコントラストの違い(イメージ)

LEDディスプレイの映像の仕組みとコントラスト

次に、LEDディスプレイの仕組みと、コントラストについて解説します。

LEDディスプレイの仕組み


LEDディスプレイは、映像を表現するため赤・青・緑の3色のLED素子を使用した自発光技術です。数センチから数十センチのモジュールにLED素子を決まったピッチ(間隔)で配置(実装)し、タイル状に組み合わせて大きな画面を構成します。

自発光方式の最大の特徴は、各ピクセルが独立して光を制御できることです。明るい部分を表示するピクセルは強く発光し、暗い部分を表示するピクセルは発光を抑える、または完全に消灯することができます。

そのため、理論的には完全な「黒」を再現することも可能です。これにより、黒が締まった深みのある映像が可能になり、白やカラーの鮮やかさが際立ちます。

LEDディスプレイにおけるコントラスト


LEDディスプレイにおけるコントラスト比は、基本仕様などには記載されており、「5000:1」のような形で表示されています。LEDディスプレイの一般的なコントラスト比は1000:1から5000:1程度です。

LEDディスプレイは自発光方式のため環境光の影響を受けにくい特長があります。明るい屋外や照明が強い商業施設でも、コントラストを維持したまま鮮明な映像を映し出せるのも大きな強みです。

高いコントラストがもたらすビジネス上のメリット

「コントラスト比が高いと、具体的にどんなメリットがあるの?」そう疑問に思う方もいるかもしれません。ここからは、ビジネスシーンにおけるLEDディスプレイの具体的なメリットを紹介します。

企業イメージの向上とブランディング


受付やエントランス、ショールームなどにLEDディスプレイを活用すれば、企業のロゴやブランドイメージを反映した映像をより美しく鮮やかに表示でき、効果的な情報発信に貢献します。

高品位な映像送出には「黒の締まり」が欠かせません。ただし、LED素子表面を黒に近くする必要がありますが、黒い素子で輝度を上げるためにはより高輝度である必要があり、価格もそれなりに高くなります。最新のLEDディスプレイ方式であるCOBやMiPは、素子自体が小さいため目立ちにくく、ディスプレイの総表示面積に対するLED素子の比率が低くなるため、高コントラストに寄与します。大型ディスプレイで高い黒の締まりを出せるのはLEDディスプレイだけです。

映像クリエイティブの色彩を忠実に再現できるため、ブランドのコンセプトやクリエーターの意図を正確に伝え、資料の視認性が格段にアップすることができ、顧客への訴求力が高まります。

プレゼンや会議の質が向上する


グラフや表の細かい文字、色分けされたデータなど、プロジェクターでは見づらかった資料の視認性が格段にアップするでしょう。

高コントラストと低コントラストの違い(イメージ)
コントラストが高い方(左)が、くっきりと文字が読みやすい

特に、コーポレートカラーや商品写真など、色の再現性が重要な資料は、本来の鮮やかな色彩で表現され、プレゼンの説得力がアップします。

また、部屋を暗くする必要がないので、会議中にメモを取る、資料を確認する、参加者の表情を見ることも可能です。高いコントラストの鮮明な映像は、参加者の集中力を維持し、議論の活発化も期待できます。

まとめ

コントラストという観点から映像表示技術を比較すると、LEDディスプレイとプロジェクターの間には構造的な差があることがわかります。

プロジェクターは手軽に導入できるというメリットがある一方で、コントラストの限界や環境光に左右されるという注意点があります。一方、LEDディスプレイは、その自発光という仕組みによって、高いネイティブコントラスト比を実現し、どのような環境でも安定した高画質を提供します。

もし貴社で以下のような課題を感じているのであれば、LEDディスプレイの導入を検討してみてはいかがでしょうか。最適なご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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お客様の導入目的やご予算、設置環境に応じて、最適なピクセルピッチや輝度の選択から、音響機器やコンテンツまで含めたトータルソリューションをご提案いたします。

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